人工知能(AI)は意識を持つだろうか?-デイヴィッド・チャーマーズの講演より-
デイヴィッド・チャーマーズは哲学者であり、意識のハード・プロブレムという概念の提唱者です。彼が2022年11月28日に行った「巨大言語モデルは意識を持つだろうか?」というタイトルの講演について解説するとともに、私見を加えます。
内容
デイヴィッド・チャーマーズ(David John Chalmers)は、1966年生まれのオーストラリアの哲学者であり、心の哲学の分野における指導的な哲学者のひとりです。
1994年にアリゾナ州ツーソンで開催された第1回の意識に関するツーソン会議にて、「意識のハード・プロブレム」という概念を提唱しました。
すなわち、脳における情報処理の仕組みを客観的な立場から解明することは比較的易しい問題(イージー・プロブレム)であるけれども、主観的な体験(クオリアと呼ばれる)が生じる仕組みについて解明することは、極めて難しい問題(ハード・プロブレム)であって、現在の物理学においては解決できないのではないか、と主張しました。
そのチャーマーズが、ルイジアナ州ニューオーリーンズで開催された第36回のNeurIPS(Conference on Neural Information Processing Systems:神経情報処理システム会議)にて、2022年11月28日に「巨大言語モデルは意識を持つだろうか?」(英語原題は、Could a Large Language Model be Conscious?)というタイトルの招待講演を行いました。
この講演については、以下のサイトに、動画とプレゼンテーションの両方が掲載されています(但し英語)。
https://nips.cc/virtual/2022/invited-talk/55867
「巨大言語モデル」とは、人工知能(AI)の一種であって、今流行りのChatGPTや、昨年の6月に、意識を持つようになったのではないかと言われたLaMDA(ラムダ)などが該当します。
当講座では、この分野においてまったく初めての方にも分かりやすい形で、上記のデイヴィッド・チャーマーズの講演内容について解説しつつ、意識に関する私見を加えていきたいと思っています。
*
私自身は、これまで宇宙における最大の枠組みに関して、5つの原理から構成される『宇宙の創造原理』を提唱し、意識に関しては『意識の二階層論』という仮説を考えてきています。
これら2つの「説」については、私自身、これまで、2つの異なる「対象」もしくは「カテゴリー」についての「説」であると考えてきました。
ですが、最近になって、「なぜそもそも意識というものが生まれたのか」という問題を考える上では、『宇宙の創造原理』が必要不可欠であり、これら2つの「説」が実は互いに不可分のものであると認識するようになりました。
こうした事情は、以下に示す「意識についての私的な定義」から見て取ることができるかと思います。
逆に言えば、「意識」について深く考えるためには、『宇宙の創造原理』に示されているように、最も根源的なレベルで宇宙を把握することが必須である、ということになります。
そのような深みに至らなければ、『「意識」はダーウィン的進化の過程のどこかで「創発」した』というような、極めて皮相的かつ誤った捉え方をしてしまうことになるのではないか、と私は考えています。
「私見」では、「意識」、特に「自己意識」は極めて神聖なものであって、宇宙の根源的かつ一者的な存在である『絶対無限の存在』と繋がっているが故に、私たち一人一人に与えられているものである、と認識しています。
講座の後半では、これらの点について、解説したいと思っています。
日時
5月5日(金)19:00~21:00[ZOOM] 終了!5月7日(日)13:30~15:30[ZOOM] 終了!
- 5月5日と5月7日の講座は終了いたしました。
- 「後日の録画配信」のみ、お申し込みいただくことができます。お申し込みフォームにて、「後日の録画配信」という選択肢をお選び下さい。
参加費
4,000円
お申し込み
https://ws.formzu.net/dist/S507676003/
講師
根本泰行